Project店舗プロデュース

"三島"という土地を輝かせるために

山本食品様の社長・山本豊氏は、当時の様子を振り返ってこう語る。

「生まれ育った三島の地を盛り上げたいという想いから、提案された事業地は私も気にかけていた場所でした。 長野さんは私と同様、まずは街づくりありきで話をしてくれたため、すぐに意気投合しましたね。 丁度、新規の出店計画を練っていた時期だったので、話はトントン拍子に進みました」

お客様であり、長野にとっては心強いパートナーでもある、山本社長。

志を共にする企業との出会いに力を得て、長野は地主様と交渉する為のプレゼン作りに取り掛かった。
山本食品様・地主様とそれぞれ何度も打ち合わせを繰り返し、双方の要望を反映し、互いにとって実りのある提案を幾度となく行なった。 工事費やテナント賃料・契約期間の設定、長期に亘る収支計画、その他様々なケースに対しての法律・税務上の問題など、長野が間に立ちながら、諸条件を互いに納得できるものに調整。 他社と競合する中で、無事に建物賃貸借契約の締結という結果を迎えられたのには、ただの土地活用を超え、地域活性化を盛り込んだプランが地主様の心に響いた部分も大きい。

計画では一階を店舗、上階を賃貸マンションにする案もあったが、長野は「それでは門前の景観を損ねてしまう」と主張した。 長野の提案はそれ単独の収支で終わるものではなく、三島という街、その歴史、風土、景観を考えたもの。 店舗は建物自体が看板となるため、人目を惹く外観にこだわり、向かいの三嶋大社からの見え方や周囲の建物に埋もれないボリューム感を重視した。 その一方で、山本食品様のご希望により、食事を供し、参詣者やご近所の方にゆっくり座って寛いで頂けるよう、屋外にテラス席を配置。 店舗・テラス共に街並みに合わせた和風味をバランスよく取込みながらも、古い印象を与えないよう、モダンなデザインでまとめた。

店舗併設のテラス席。大社前には余り飲食店がないため、参詣される方や近隣の方が足を休める場所を提供。

店舗内部はゆっくりと商品を見て選んでもらうことに重点を置き、開放的な吹き抜けにした。 夜間にトレードマークのワサビが浮かび上がるよう、照明計画を練った。 お客様のため、トイレはなるべく沢山作るようにした―― 打ち合わせで受け取った案をすぐさまビジュアル化して、魅力的で分かりやすい説明を行なえたのは、社内に設計士・デザイナーがいる平成建設の特長であり、強みでもある。 レスポンスが早く、分かりやすい形での提案は、打ち合わせの度に新しい着想を生み、より良い店舗デザインへと繋がったと、山本食品様・地主様から高い評価を受けた。

新しい門前町の始まりと、これからの発展

無事に工事が竣工し、店舗がオープンを迎えた日には、注目度の高い土地での開店ということもあり、三島市長や市の観光課も参加してテープカットを行った。 新店舗開店から一年半が経った今、新店舗はすっかり街に溶け込み、大社を訪れる人々の憩いの場となっている。

「営業を初めてから1年半が経ちましたが、方々から、三島が変わったよ、活気が出たねと声を掛けて頂き、嬉しく思っています。 会社としてもネームバリューが上がり、始めて会う人にも、山本食品と言うと「三嶋大社の向かいのお店ですね」と言って貰えるようになりました」(山本社長・談)

また、山本食品様を中心に、旅行会社とのタイアップをはじめとする様々な販促計画が進行しており、次第にこのような動きに賛同する企業も増えてきているという。

オーソドックスな一品から斬新な商品まで、地場に密着した土産物を販売中。

長野の狙い通り、一つの土地活用が地域の活性化のきっかけとなった。
「僕は一企業の一営業マン。けれど、手がけるのは街全体のレイアウトです。平成建設の営業の面白いところは、様々な建物を造る技術があり、地域情報に詳しい点。 自分で営業の方法を考え、新規の業界を開拓させてくれる点。 そして設計士やデザイナーと相談しながら、会社全体で一つのプロジェクトに取り組む事ができる点です。 アイディアと、信念と、情熱があれば、一つの街を変えることだってできる」

長野は今、街・再生を目指す新たなる計画に取り組んでいる。