地元出身のS様から開業支援のお問い合わせを頂いたのは、2011年3月のこと。
井熊はS様と面会し、開業コンセプトについて聞き取りを行うと共に、すぐに設計担当となった長沢にS様のご希望を伝えた。
コンセプトをもとに設計は建築プランを用意。
更に打ち合わせの初期段階から、数多くの医院開業を手掛けてきた会計事務所にも同席して頂き、医療最前線に立つ会計士ならではの情報や、提案など様々な助言を頂いた。
「会計事務所さんは医院開業や医院経営を数多くサポートされているだけあって、お話はいつも、とてもためになるものばかりです。
税に関する専門知識は勿論のこと、例えばいつ頃医師会にご挨拶に行くべきなのかとか、医療従事者の給与についてとか、これはもう会計事務所ならではのノウハウですよね。
ドクターだけでなく、僕たちにとっても非常に心強いパートナーです」
また、医薬分業の観点から、井熊はS様に薬局様をご紹介。
医院と薬局が隣接する、利用者に便利なレイアウトを作成した。
医院と薬局、両方のデザインを平成建設が行う事により、外観のデザインに統一感を持たせ景観にも配慮した。
医院ロゴも当社デザイン部にて作成。オープンイベントとその告知も当社にて提供させて頂いた。
更に導入機器のコンペティションを平成建設主催で開催するなど、建築に直接関係ない部分でもドクターの負担を少しでも軽減できるよう努めている。
平成建設が場所を提供することで、一度に複数社の機器を比較・検討できる。忙しいドクターにとって、各企業を個別に回るのは難しい。
「土地は不動産屋、設計は設計事務所、建築は工務店、コンサルタントは会計事務所、融資は銀行、薬局や医療器具は自力交渉ではドクターの負担が余りにも大きい。
"ドクターズアシスト"は、得意分野が異なる企業が協力する事で窓口を統一し、業務をスムーズ化する事、ドクターの負担を軽減する事を目的としています。
多忙なドクターにとって開業の負担を減らしてくれるシステムは、非常に魅力的に見えるはず。
その上、関連企業が情報を共有することで無駄を省き、総合的に最も効率的な条件で開業に漕ぎつけることができる。
今取り組んでいるS様医院は、建物の建築だけに留まらず、会計事務所、金融機関、薬局と協力し合い、トータルに開業を支援しています。
開業支援プロジェクトが目指した理想に非常に近い形だと思いますね」
2012年9月のオープンを無事に迎え、井熊は長かったプロジェクトを振り返った。
「S様医院の現場では様々な場面で多くの事を学ばせて頂きました。
反省点もありますが、それが積み重なってノウハウになるんです。
今後はS様の案件をモデルケースとして、更にドクターズアシスト ―― 医療プロジェクトを発展させて、医院開業といえば平成建設と言われるようになりたい」
マンション、住宅、リフォームに次ぐ新たな"平成ブランド"確立のため、プロジェクトメンバーは今日も活動を続けている。
手前の建物が薬局、奥の建物が医院。法規上の抑制と動線を考えた配置。